水循環系の再生とは
地球上の水は、海や陸から蒸発して雲となり、雨や雪となって再び地上に降り、川となり、やがて海へ戻っていきます。また、地上に降った雨は、窪地(湖や沼)に溜まり、地下に浸透して地下水として貯えられ、徐々に湧き水として川に戻っていきます。このような現象を「水循環」と言います。これらは地域の文化や風土を形成する上で非常に重要な役割を果たしてきました。
しかしながら、都市化の進展や人口の急激な増加に伴い、市街化された土地は雨水が地下へしみ込みにくくなり、洪水対策のため排水路や下水道が整備され、雨水がすばやく集められ海に流されるようになることや、下水道未整備区域において、各家庭などで使用された水が汚いまま川に流され河川の水質悪化を招くなど、昔とは水循環が大きく変化しています。
このような水循環は、自然的な要素と人工的な要素を関連づけて系統的に捉えることが重要で、この概念を「水循環系」と表現します。
都市の水循環系には、その重要な経路である河川、下水道はもちろんのこと、水循環系の場である市街地、山林、農地などが広く関わりを持っています。そこで、これらの経路や場に対して総合的、効率的に組み合わせた施策に取り組むことを『水循環系の再生』と呼びます。
私たちはこの『水循環系の再生』に取り組み、豊かで美しく安心な海老川を取り戻し次世代へ残すことが責務であると言えます。